アラビアビンテージの魅力
人気のアラビアのヴィンテージ食器ですが、街中やネット上、あるいは映画やドラマでみてその魅力にはまってしまったという人も多いのではないでしょうか。
1873年にフィンランドヘルシンキの北部にあるアラビアという地域に創業しました。
現在もアラビア工場はそのまま残されており、工場が海外に移された後もショップとして営業しています。
長い歴史をもつアラビア社ですが、注目されているのが1950年代〜80年代前後に製造されたヴィンテージと呼ばれる食器たちです。
魅力的なシリーズが多数ある中で、オススメのシリーズ10選を紹介します。
- Ruska(ルスカ)
- Koralli(コーラル)
- HLA(ヒルッカ・リサ・アホラ)
- Kalevala(カレワラ)
- Valencia(バレンシア)
- Krocus(クロッカス)
- Fructus(フラクタス)
- Kirsikka(キルシッカ)
- Meri(メリ)
- Taika(タイカ)
Ruska(ルスカ)
アラビア社のロングセラー商品といえる人気シリーズがルスカです。
北欧の家庭を探せば必ず出てくるのではないかと思われるほど、北欧の家庭に浸透しています。
それもあってビンテージ人気が高まっている近年でも、比較的手に入りやすいのが魅力の一つです。
そのため、色々なサイズの皿やカップを家族分揃えることもそれはど難しいことではないでしょう。
また和食・洋食・デザートも何をのせても絵になるため、普段使いにどんどん使っていただきたい食器です。
「Ruska=紅葉」と名付けられたこのシリーズは、まさに紅葉のようにそれぞれが違った表情を見せてくれます。
お気に入りの色味を見つけるのも楽しいです。
製造期間が長いこともあり、皿・カップ・花瓶・ポット・ピッチャー・ボウル・灰皿に至るまで、さまざまなものが販売されました。
デザイナーUlla Procope/ウラ・プラコッペがデザインしたルスカのフォルムは、Sモデルとよばれこの時代の他の食器にも多用されています。
コスモス・メリ・ルイージャ・コーラル・アネモネ・トゥントゥリ・フローラなど、この時代の人気シリーズの多くがこのフォルムに絵付けされているものです。
以前フィンランドへ行った際、サウナやさんの受付の壁一面にたくさんのルスカが置いてありました。
色は派手ではないのですが、数が多いとまさに圧巻で本当におしゃれでした。
Koralli(コーラル)
年々北欧ヴィンテージ食器の人気が高まり、価格が高騰しています。
その中でもずば抜けて取引価格が高くなっているのがコーラルシリーズです。
珊瑚を意味するコーラルですが、その名の通りなんとも上品な珊瑚色が特徴です。
先ほど紹介したルスカと同じSモデルのフォルムに、ハンドペイントにてデコレーションが施されています。
1980年代に製造されたこのシリーズは、ウラ・プラコペの最後の作品となりました。
全体的にブルーやブラウンなど、落ち着いた色合いが多いアラビアビンテージ食器の中で、ピンクを基調にしたシリーズは他になく、非常に人気が高くなっています。
北欧食器を集めるなら一つ持っていると嬉しくなるシリーズです。
HLA(ヒルッカ・リサ・アホラ)
HLAはシリーズ名ではありませんが、近年HLAことヒルッカ・リサ・アホラデザインの作品の人気が高くなっています。

アホラはアラビアのアート部門に所属していたデザイナーです。
アート部門ではデザイナーの創作意欲のままに、自由に制作をさせていました。
その中で彼女は花をモチーフにした作品を数多く世に送り出しました。
大胆にハンドペイントで描かれた花の絵は非常に迫力があり、一筆一筆に絵付け師の思いが感じられます。
アート部門の作品は比較的流通量が少なく、大量に製造された他の作品と比べるとHLAの食器も希少であると言えますが、まだ入手が可能です。
まさにアートとしての色も強いので、使わず飾っている方も多くいらっしゃいます。
絵画のようにプレートを飾ってみてはいかがでしょうか。
Kalevala(カレワラ)
フィンランドの民族的叙事詩であるカレワラ物語の世界を描かれているのが、カレワラのイヤープレートです。
1976年から1999年間で1枚づつ発表されました。
ライヤ・ウオシッキネンが描く、登場人物たちのいきいきした表情が魅力です。
フィンランドの自然とたくさんの動物たちも登場します。
カレワラってどんな話??と思う方は、日本語訳も多数ありますのでぜひ読んでみてください。
(私も以前読んで簡単に記事を書いています↓)
大切な年のイヤープレートを!あなたの生まれ年のプレートはこんな場面☆
またこのプレートの裏には、針金や紐などを通せる穴があいており、壁にかけて飾ることができます。
飾ることを目的といて作られているので、基本的に傷やスクラッチ跡がなく状態がいいものが多く残っています。
新築祝いやお誕生日などに、生まれ年のプレートをプレゼントするのが私のおすすめです。
もちろんご自分の生まれ年もぜひ。
年によって販売された数にムラがあり、その希少価値にあわせて取引価格も上下している状況です。
Valencia(バレンシア)
個人的にも大好きな食器の一つです。
1960年代に製造されました。
深いブルーで丁寧に絵付けされていて担当した絵付け師によって、雰囲気が異なるのもとても面白いです。
他のシリーズにはあまりみられない特徴として、裏面にデザイナーであるウラ・プラコッペのU/Pというサインとあわせて、担当した絵付け師のサインが入れられています。
「ARABIA」というサインの書き方も、絵付け師さんに任されていたようで、大きさも太さも色々です。
バレンシアシリーズは、現代の大量生産された食器にはない手仕事を感じられると、非常に高い人気があります。
バレンシアの芸術的な美しさを堪能してみてはいかがでしょうか。
Krocus(クロッカス)
フィンランドに春を知らせる花と言われているのがクロッカスです。
そんなクロッカスをモチーフにしたエステリ・トムラの代表作です。
繊細な線で表現されたクロッカスには、雪解けのフィンランドに春をもたらすみずみずしさを感じます。
カラー・モノクロ・グレーの3色展開です。
モノクロとグレーは落ち着いた色合いの中にも華やかさがあり、食事を引き立てます。
カラーはブルーとグリーンの色付けで春を感じさせてくれます色合いに仕上がっています。
1978〜79年の2年のみの製造にもかかわらず、現在まで高い人気があり現地でもなかなか手に入りにくくなっています。
2022年にはITTALA社がクロッカスのパターンを復刻販売し、こちらもあっという間に完売しています。
主張しすぎないデザインで実際の食事にも使いやすいので、おすすめです。
Fructus(フラクタス)
”Fructus”はフィンランドで”果実”という意味です。
柘榴(ザクロ)と思われる果実が、瑞々しく皿いっぱいに描かれています。
デザインしたのはコスモスで有名なGOGことGunvor Olin-Grönqvist (グンヴァル・オリン・グラングヴィスト)です。
フラクタスはアート部門の最高傑作とも言われているアラビアの代表作の一つです。
ひとつひとつが担当絵付師によって少し趣が違っているのもこのシリーズの面白いところです。
丁寧に絵付けされていますので、特に大きなサイズは絵画のように飾っていただくのがおすすめです。
フォルムは、ルスカやコスモスなどと同じSモデルなので、
これらの食器と一緒に使ってもとても絵になると思います。
ブルーとブラウンともにそれぞれがとても魅力的です。
Kirsikka(キルシッカ)
さくらんぼを意味するキルシッカのカップが根強い人気です。
1975~1979年に製造されたキルシッカは、ギフトやコレクションに多く用いられ販売当初から高い人気がありました。
北欧の爽やかな短い夏をイメージさせるカラーリングが北欧の人々の心をつかみました。
少しレトロな雰囲気の可愛らしいデザインは日本でもコレクターの間で高い人気があります。
キルシッカはシルクスクリーンと呼ばれる技術を使い、釉薬の上からプリントが施されています。
シルクスクリーンでプリントされた絵柄は剥がれやすく色褪せも多いため、近年では状態の良いものに出会うことが少なくなってしまいました。
キルシッカのデコレーションをデザインしたInkeri Leivo(インケリ・レヴィオ)は長きに渡ってたくさんの作品を残しました。
キルシッカの他には、taikaやUhthaなどラインを使ったシンプルなものも多くデザインしています。
Meri(メリ)
ウラ・プラコッペの作品でルスカについで思い浮かぶのがメリではないでしょうか。
”Meri”はフィンランド語で”海”を意味します。
北欧の海の色を思わせるコバルトのような美しい青を、落ち着いた深いグリーンとブラウンのラインが引き立てています。
全体に漂うように散ったドットが動きを感じさせてくれます。
こちらもSモデルなので、他のSモデルシリーズと組み合わせて使うことができます。
1975〜81までの製造ですが、当時から人気が高かったためたくさん製造されています。
まだまだ状態のいいものに出会うことができるのも、人気の理由です。
Taika(タイカ)
北欧では非常に多く食べられているベリーが描かれているのがタイカです。
“Taika”は魔術という意味を持っていて、真っ赤なベリーが白くされてしまったとか。
そのあたりは正直よくわかりませんが、プリントされた柔らかい絵と、手描きで温かみのあるブラウンのラインが魅力的なシリーズです。
暗い背景とそこに浮かび上がるベリーのコントラストが神秘的で絶妙な雰囲気を醸し出しています。
他のアラビア食器とは雰囲気が違うタイカシリーズもコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は個人的な趣向と、お客さまからの問い合わせなどから
勝手に10シリーズを挙げさせていただきました。
これ以外にも魅力的なシリーズがたくさんあり、紹介し始めたらキリがありません。
ビンテージを楽しむなら、時代を感じるハンドペイントの食器もおすすめです。
アラビアのヴィンテージ食器には絵付師さんが絵付けをしたものが多く残っています。
絵付師さんの描いたバックスタンプに注目してみるのも楽しいかもしれません。
そういったところも楽しんでください。
既に生産されていない北欧のヴィンテージ食器。見つけた時が買い時かもしれません。
フィンランドやスウェーデンで見つけたヴィンテージ食器を販売しています。
新しい食器でわくわくする毎日を。